In Life and on Silks

The 8-Day Rule

週に8回、打ち込んでいることはありますか?

私がエアリアルシルクに触れ始めてから、最後の演技を終えて引退するまで13ヶ月。
幸運なことに、最後には国際大会のアマ最上位の部門 (4部門ある中で一番上) で2位入賞することもできた。

初めてエアリアル体験をした日にはただのClé (フットロック) をしただけで足首が折れるかと思った私には、持って生まれた特別な才能は特にない。練習仲間は知っての通り、前半の6~7ヶ月間はほとんど何もできなかった。

ただ、最後の3ヶ月は最低でも週8回は練習をしていた。
当時の感覚としては、どれだけ練習してるかなんて恥ずかしくて周りに言えないくらい練習をしていた。単にエアリアルが上手な人を目指していて、限られた時間で上手な人になるためにはその頻度はごく自然なものだった。

何かを上達したい時、戦略は色々ある。効率的な練習方法、コーチやメンターの選び方、付き合い方、環境の作り方、教材の選び方、等々。
しかし最もシンプルで上達度と相関が高い要素は、小細工のない単純な練習量だと思う。

とは言え「とにかくたくさん練習しろ!」と言ったところであまり助けにはならないので、「週8回ルール」という一つの基準を提示したい。

取り組むものが何であれ、練習量と上達スピードの相関は極めて高い。スポーツでも、音楽でも、研究でも、仕事でも、恋愛や人間関係でも。振り返ってみると、あなたもそうだったのではないか。
数ヶ月といった期間で何かを修めた時、あなたも週8回それに自分の生命を捧げていたはずだ。

ここで8回というのは基本的には比喩的表現ではなく文字通りの意味で、スポーツの場合、休日は朝と夜に練習する (果たして休日だろうか?) などして、「毎日やるのは当たり前として、それプラスα」の練習をキープするということになる。

細かい話をすれば、人間の身体にとっては毎日やらない方が良いタイプのトレーニングや、練習量を上げすぎると上達効率が落ちる項目もある。しかしオーバーワークを防ぐことと週8回ルールを守ることは全く別の話であり、確実に同時に成り立つ。それが数学のような知的負荷が高い学習項目であっても、エアリアルのような高強度のスポーツであっても。

その上でこの8回キープは言わば物理的な儀式で、淡々と、1日だって空けずに時間を捧げることが、何かを本格的に上達したい時の最も単純で基本的なルールなのだと経験 & 観察的に信じている。

だが恋愛と同じように、情熱にも燃え上がる順番というものがある。それまでの日常を変えても良いと思える程度の心構えが事前にできていないと、週8回のコミットメントはただ生活を壊す苦行に過ぎない。練習を強制するのは、だから無意味なのだ。

この心構えや覚悟ができた状態を、私は「呪いにかかった」と表現している。私の場合、エアリアルの呪いにかかるのにまず10ヶ月がかかった。
最初の数ヶ月は2-3週間に1回体験レッスンに行くだけの、遠い知人のような関係。当然だが毎回前回の内容を忘れていて、ほぼ全く何も上達しない。
しかしやがて週に1回会うようになり、週に2回、3回と頻度が上がり、10ヶ月が経った頃にようやく呪いにかかり「もう毎日やるか」と思うことができた。

呪いにかかる前の期間については今回の趣旨ではないので深く扱わないが、まだ心構えができていない人に週8回という無機質な拘束を押し付けるものでもない。

だが、もしあなたが週8回のコミットメントと聞いて「そんなの当たり前だよね」と感じるほどの何かを自分の中に見つけられたなら、それは幸せなことだと思う。
同じ呪いにかかった仲間とも自然と通じ合い、高め合える宝物のような関係が築けるに違いない。

私もいつかその幸運にまた恵まれた時は、エアリアルでも確かめられた経験的な学びから、週8回という極めて単純なルールを自分への最初の約束にすると思う。
そしてそうしてたどり着く週8回生活は、実はあらゆる意味でまだまだようやくスタートラインなのだ。

なぜなら呪いが深まった先には、週8回どころか1日8回(?)ルールとでも言うべき、起きてから寝るまでずっと、つまり常に、毎瞬間、いついかなる時もそれに打ち込むポール・エルデシュ程の呪いにかかった人間も各分野に存在するからだ。
そういった目で見ると、私がエアリアルに打ち込んだ3ヶ月など、開演直後の広く輝く舞台にようやく踏み出した、袖からの儚い一歩でしかない。

私がメインで練習に利用させて頂いたスタジオの中の人は、「こいつ毎日のように練習来てるなー、仕事してるんか?」と思っていたと思う。ちなみに普通にフルタイムの専門職をしていた。ただ、仕事上の親しい関係者も「こいつ毎日のようにエアリアルやってんなー、仕事弱火になってないか?」とは思っていたと思う。