Xのブロック機能改修に思うこと
数日前から、X(旧Twitter)のブロック機能改修について話題になっています。
- 参考記事
どうやら、ブロックした相手からの自分の発言を閲覧可能になるという大改悪がおこなわれる模様です。
私は実質的に、すでに2年ほど前からあそこのアカウントを事実上放棄しているので、ほぼ関係のないことですが、かといって決して他人事ではありません。
初期のTwitterでもブロックした相手から発言を閲覧可能だった
実はかつてのTwitterでも、ある時期まではブロックした相手から自分の発言を閲覧可能になっていました。2010年~11年頃に私は実際に、私に対する悪意を持ち私と相互ブロックとなった者複数名から執拗に嫌がらせを受けておりましたので、記憶違いではありません。
その意味では、原点回帰と言えないこともありません。だからと言って私がこの流れを全く歓迎していないことは言うまでもないでしょう。
ブロック機能は悪意にさらされる者たちの言論の自由を守る砦のはず
実際に、ある時期以降Twitterでブロックした相手から自分の発言を読めなくなってからは、それだけでも精神的に相当楽になりましたし。私に限らず、何らかの理由で他人からの嫌がらせにさらされているような人々にとっては、相手からの閲覧をできなくするブロック機能はなくてはならないものなのです。
特に日本国内では、思想信条の異なる者に対する嫌がらせが後を絶ちません。かつてTwitterの周辺サービスとして存在していた「Block Together」というブロックリスト共有サービスは、日本国内からはいわゆるネット右翼対策で活用されていて、サービス提供者もそれを認識していたほどです。
しかし、Twitter時代からのAPI改悪により、「Block Together」のようなサービスは続行不可能に追い込まれました。今回発表されたブロック機能の大改悪はその総仕上げとでも言うべきか。
故に、ブロック機能改悪について、国内外から懸念が集まって芸能界でも不安視されているというのは、至極まっとうなことなのです。それをわかっていないのはどこぞの極右のおっさんだけでしょう。
しつこいようだがSNS参加者自身が自ら言論の自由を守るように動く必要がある
これ、自分もこのブログやMastodonなどで何度も何度も言っていることなのですが、SNS参加者は自力で言論の自由を守るように動く必要があると思うのです。
私はその一環として、2017年4月に日本でもMastodonブームが始まってからまもなく、そちらへの参加を始めて、Twitterへの発言は以後激減することとなりました。翌5月には、自分も初めて自前のMastodonコミュニティを立ち上げることとなりました。そのコミュニティ自体は5ヶ月しか持たなかったものの、以後、Mastodonの連合機能の特性を生かし、他コミュニティとの連合を前提とした自分専用のいわゆるお一人様サーバを立ち上げることになりました。
ただ、私のようなやり方は残念ながら万人にお勧めできるものではありません。自前のサーバを立てれば他者が決める利用規約に縛られることもないのですが、とにかくサーバ(VPSなりクラウドなり)のレンタルやドメイン取得などに金がかかりますし、また、ある程度のサーバやネットワークに関する知識も必要となります。さらに、自分以外のユーザさんも受け入れるようなコミュニティを立ち上げた場合は、コミュニティの維持にも気を遣わなければなりません。
しかし、MastodonやMisskey等が属するFediverseネットワーク(いわゆる分散型SNS)の世界では、かつてのTwitter等の大手SNSほどのスケールメリットこそないものの、大規模から零細規模に至るまで様々なコミュニティが存在し、ユーザはそれらの中から一つないし複数のコミュニティを選んで参加することができます。ご自身の思想信条や趣味趣向に合うコミュニティを選べば、良くも悪くも様々な人々が集まる大規模SNSよりも遙かに快適に過ごすことができるでしょう。
もっとも、Fediverseではそのコミュニティ選びが参加のハードルを上げてしまっているという面も否めません。実際に、特定の大手Mastodonサーバにユーザ登録したものの、そこの雰囲気になじめず、Mastodonそのものに対する悪印象を抱いてTwitterに帰って行ったユーザがいる、という話はこれまで何度も見聞しています。
幸い、昨今ではFediverse以外の「ポストTwitter」と呼ばれるサービスもいくつも立ち上がっています。特に、私も参加している「Bluesky」は外見もTwitter(X)に近く、脱Twitterの最初のステップとしてはこれ以上ない選択肢だと思います。実際、Blueskyは(まあ余り関わりたくないユーザがいることは否定できませんけど)黎明期のTwitterと比べてもより良好な雰囲気を維持できていると思います。
このように、現在はスケールメリットさえ度外視すれば、Twitterの代替手段には事欠きません。そのTwitter、といいますかXについても、アクティブユーザは激減し、スポンサーからも逃げられているということを考えると、スケールメリットは我々がかつて感じていたものとは比較にならないくらいに小さくなっていると思います。
なので、企業だったり、政治家や芸能人などのスケールメリットをより重視する人にとっては、現状であればBlueskyに参加するのが最良の選択肢かもしれません。もちろん余裕があれば複数のSNSに参加してほしいと思いますが。できれば複数種類のSNSにマルチポスト可能な環境がもう少し整備されれば、と思います。
ブロック改悪の次は恐らく…
私は2007年からTwitterを始めており、2022年頃には実質的にアカウントを放棄するようになりましたが、それでもまだXからの退会には至っておりません。
理由は簡単で、自発的に退会した場合にもMastodon等のようにアカウント名の再利用が不可能になるわけではなく、長年使用してきたアカウント名を悪意の第三者に取得される危険性が極めて高いからです。
もちろん、今後Xがまともになることなど期待できません。期待するだけ無駄だということは、おととし秋以降いやというほど思い知らされました。
しかし、多くの人の言論の自由をかろうじて守ってきたブロック機能が改悪されるとなると、次に来るのはアカウントの非公開設定の廃止なのではないかという懸念が頭をよぎります。
いや、気のせいで終わってくれればそれに越したことはありませんよ。しかし、ブロック機能を改悪してブロックした相手からの発言の閲覧を可能にしてしまうその先に見えるのは、自分が懸念しているようなことです。
自分がかつてTwitterで作った2つめのアカウントは先述のネットストーカー対策で作ったもので、最初から非公開設定にしていました。そのアカウントは、私に対して悪意のある者たちから私の言論の自由を守るために大いに役立ちました。
しかし、ブロック機能改悪に引き続き、もし非公開設定の廃止が本当におこなわれてしまうならば、もはや私がX(Twitter)のアカウントをこれ以上維持する理由は消滅してしまいます。悪意の第三者にアカウント名を取られるリスクをとってでも、Xから退会しなければならなくなるでしょう。
やはり自分にはMastodon(Fediverse)が一番合っている
先ほど、Blueskyをべた褒めしましたが、実はBlueskyもかつてのTwitterを完全に代替するものではありません。とりわけ、アカウントの非公開設定がいまだに実装されていないという点は、個人的に大きな不安要素です。
その点では、Twitterのように非公開アカウントをわざわざこしらえることもなく、投稿単位で公開範囲の設定が可能で、他社からのフォローも承認制にできるMastodonが、自分にとっては最良の選択肢だと思います。
とはいえFediverseは万人にとってのベストではない…
ただ、Mastodon等のFediverseは、かつてのTwitterのようなスケールメリットを享受しようとするにはまだまだ全体としての規模が小さすぎます。加えて、コミュニティの運営も市井の個人が主体になっているという点も、ある種の人々にとってはデメリットかもしれません。
ですので、先述のように複数のSNSへのマルチポストを容易にできる環境が整備されることを、願ってやみません。一部のスマートフォン向けSNSクライアントアプリの中にはそれを可能にしているものもあるのですが、まだまだ種類が少なくしかも敷居も高いですね…。
This image is created by Stable Diffusion web UI.
#2024年 #2024年10月 #2024年10月18日 #SNS #Twitter #分散型SNS #Mastodon #マストドン #Fediverse #ブロック