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髪を切る

予約していた美容院に行く。
髪を洗ってもらっているときに最近よく寝れてるでしょと言われた。
確かにここ最近は特にストレスもなく、毎日8時間は眠れている。
そんなに如実に髪の質に現れるものなのかと驚いた。

お酒が美味しい店を教えてもらったが、店を出る頃には名前を忘れてしまい、後から検索することもできなかった。
造語ではなく、元々あるシンプルな名前だったことだけ覚えている。
床に落ちた髪を美容師さんが掃除しているとき、今日が日常で担保された気がした。

お昼は妻とタコスを食べ、そのあとスタバでお茶をした。
妻は限定の、見るからに甘そうなチョコ系のドリンクを注文していた。
カフェに入ると、妻はいつも持ってきたノートに絵を描き始める。
俺はそれ眺めている時間が好き。

妻はときどき、目が潤んでいるような、潤んでいないような、泣いているようで泣いていないような顔をする。
ただ、その表情には悲しさの気配はなく、泣いてる?と聞くと必ず泣いてないよと言う。
そして実際に泣いてはいない。
どうやら、自分がそういう顔になっていることにも気づいていないらしい。

席を立とうと準備していたとき、おばさんに、ここ空きますかと急かされた。
俺はリズムを狂わされるのが嫌なので、内心そんなこと聞いてくんなと思いながら、普段より少し急ぎ気味で店を出た。

帰るのが名残惜しくて、別の駅まで行こうかという話になったが、もう15時を過ぎていて、今から移動するのは疲れるという結論になった。
近くにあったヴィレヴァンに何となく入る。
子どもの頃の記憶とはだいぶ違い、サブカル感はまるで無く、かわいいグッズばかりが並んでいた。
ただ変なグッズが雑多に並んでいるだけの店はもうどこにも無いのだろうか。

その近くの店で中古レコードが売っていた。
ジャケだけで買って、良い曲が入っているかどうかを楽しむ遊びをしようかと思ったが、アイドルのレコードのジャケ写を何枚か眺めただけで、結局何も買わずに店を出た。
ジャケ買いをしようと思いつくことは何度かあったが、実際に事前情報なしでレコードを買えた試しがない。

帰りにスーパーで鍋の具材を買って帰宅した。
緩い感じで幸せな一日を過ごせたと思う日ほど、夕方くらいからなぜか体調が悪くなる。体が弛緩しすぎるのだろう。
ストレスは基本的に嫌なものだが、体の形を保つ程度の、ほんの少しのストレスは必要なのだと昔から思っている。
とはいえ、わざわざ自分からストレスを感じにいく人間はいない。
休日は体を休めると同時に、体の不調とも付き合わなくてはいけない。

夜は、妻がナンプラーを使った鍋を作ってくれた。
最近うちの鍋はずっと鶏肉と白菜だけで、米や麺を入れないのが主流だったが、今日は春雨が入っていて、いつもの腹八分目ではなく、満腹に近いところまでお腹が満ちた。
最近は、お腹いっぱいになることに特別な幸せを感じることが少なくなっている。
満腹はもちろん幸せなことだが、毎日を腹八分目で過ごせることのほうが、もっと幸せな事だと感じる。

夕飯を食べてから風呂に入るまでの間、なんでもない時間が流れ、お腹だけがゆっくりとリラックスしていく。
明日は俺が休みで、妻はテレワーク。
俺がご飯を作る日である。