図書館
近所の図書館に行ったら、家よりずっと暖かかった。
家でじっとしているより、図書館にいた方が良いなと思ってしまって、でも、そんな理由だけで居つくのもどうなんだろうと考えた。
まずは「どうやって本を好きになるか」だ。
ちゃんと図書館と向き合おうと思った。
本を好きにならないと、図書館には性格上いれない気がした。
とはいえ、まだ本が好きと言えるほどではない。
だから、本好きの人たちの視線に入るのは気が引けて、人がいない棚を探した。
人がいない棚の番号は12番だった。
その棚には本がごっそりなくて、「本は17番に移動になりました」とだけ書いてあった。
移動したんだなと思ったら、そこに一冊だけ残っていた。
一冊運び忘れてるじゃんと思ってそれを手に取ると、それは『天空の城ラピュタ』の絵本だった。
ラピュタの物語が絵本の絵柄で描かれているのかと思ったら、映画のワンシーンを一つずつ切り取ってページに貼り、そこに文章を添えたものだった。
子どもに読ませたいにしても、アニメのシーンを貼って本にするというのは、いったい誰に何を感じてほしいと思って作られたのだろう。
宮崎駿はこの本を知っているのか?
今日は本を好きになれなかったので、図書館を出ることにした。
何もしていない時はちょうど良い温度だったのに、本を読み始めると頭が熱くなって、この図書館は読書には少し暑いことが分かった。
全然、本を読む人のための温度じゃないじゃないかと思った。
受付を見ると、50代くらいの女性がブランケットをかけて、何もせずぼーっと座っていた。
きっと、あの人のための温度なのだろう。
この図書館はあの人の城に違いない。
隣にある、本を返却した後のキャスター付の棚が、西洋のアフタヌーンティーに使われる3段のスタンドにも見えてきた。
家に帰ると、自分の家が寒いことが少しだけ好きになっていた。